中古ですでに入居者のいる物件を購入するオーナーチェンジ物件は、賃貸経営をスタートさせるまでの手間が少なく、すぐに家賃収入を得ることができるという大きなメリットがあります。
不動産投資初心者や、運営に手間をかけたくない方にお勧めの手法ですが、空室の物件を購入する場合とは異なる注意点があることを理解しておかなければなりません。
ここでは、オーナーチェンジ物件に投資する場合のメリット・デメリットの他、覚えておきたい5つの注意点を解説していきます。これから不動産投資をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
オーナーチェンジ物件には、新築物件や賃借人のいない通常の物件購入と比較すると、さまざまなメリットがあります。
・すぐに家賃収入を得られる
オーナーチェンジ物件は、購入時点ですでに入居者がいるため、すぐに家賃収入を手にすることができます。新たに入居者を探す手間がかからないことは、大きなメリットといえるでしょう。
さらに、前オーナーの賃貸経営をそのまま引き継げばよいため、一から入居者を募集する場合に必要となる家賃設定や契約書作成などの作業が不要の為、時間や手間がかかりません。
不動産投資初心者の方にも始めやすい手法と言えるでしょう。
・収益化の実績がある
賃貸経営中の不動産は、すでに収益化の実績があります。物件の収益性を担保するものとなり、金融機関からの物件評価が高くなる可能性があるでしょう。
・運用計画を立てやすい
オーナーチェンジ物件は、購入時点でさまざまな過去の資料を参照できます。
入居者が何年程度居住しているのか、退去が出た場合に次の入居者が決まるまでどの程度の期間が開いているのかといった実績を参考にできるので、運用計画を立てやすいでしょう。
・初期費用を安く抑えられる
オーナーチェンジ物件はすでに賃借人に賃借権が発生しており、オーナーの権利に制限があります。そのため、一般的に空室物件よりも安く売却されることが多いです。
また、物件にすでに入居者がいるため、投資を始める段階で新たなリフォームの必要がありません。初期費用を抑えたいという方にも向いているといえます。
また、修繕積立金も今までのオーナー様が積み立てていた金額分がある為、ある程度軽減された状態で大規模修繕等ができるのも嬉しいメリットです。
オーナーチェンジ物件には、すでに入居者がいるからこそ生じるデメリットもあります。
・物件の状態を把握しにくい
通常の空室物件を購入する場合には、事前に現地調査で設備や建物に問題点がないかを細かく確認することができます。しかしオーナーチェンジ物件の場合、すでに入居者が生活しているため、部屋の内部を見ることができません。
そのため、想定以上に部屋の内部が傷んでいたり、水回りの状態がよくなかったりというトラブルが発生する可能性があります。退去時に初めて、相当なリフォームが必要だということが発覚する例もあるでしょう。
物件の修繕履歴を確認するなど、できる限り物件の状態を把握する必要があります。
・家賃設定や契約内容を引き継がなければならない
オーナーチェンジ物件の場合、賃借人との契約内容はそのまま引き継がれることが一般的です。そのため、現在設定している家賃が相場より低い場合でも、値上げすることは難しいでしょう。しかし、逆に言えば賃料を簡単に下げることもできない為入居者が安定的に入る物件さえ選べれば、家賃の下落のリスクも安心して頂けると思います。
オーナーチェンジ物件の購入後、思わぬトラブルに見舞われないためには、以下の5つのポイントが重要です。投資判断の際に、よく確認しておきましょう。
➀管理状況・運営状況が適正か
オーナーチェンジ物件は、物件の内部を見ることができません。そのため、これまでの管理状況や運営状況が適正であるかどうかは、資料もしくは前オーナーから確認することになります。家賃滞納の有無や、築年数に応じた修繕が行われているかどうか、必ず見ておきましょう。
共用部や物件周囲の状態を見ることは、ある程度の管理状況を把握することに役立ちます。共用部や外見に著しい破損がないかはもちろん、清掃や利用の状態から適切な管理が行われているかどうか、判断するとよいでしょう。
➁契約事項や敷金の取扱い
オーナーチェンジ物件の場合、賃借人との契約内容はそのまま引き継ぐことになります。そのため、契約書の内容について、以下のようなポイントをきちんと確認しておきましょう。
・原状回復や修繕義務に関する特約
・更新料の規定
・保証人・保証契約の有効性
契約書の内容以外に、書面にない約束事が前オーナーと賃借人の間で交わされているケースもあります。仲介会社に聞き取りをしておくとよいでしょう。
➂売却理由は正当か
前オーナーがどのような理由で売却に至ったのかを確認することは重要です。
例えば、経営に時間を割けなくなった、次の物件の購入費用を捻出したい、遠方への転居で物件の管理が難しい、というようなオーナー個人の事情が理由となっている場合には問題ないでしょう。
注意したいのは、入居者同士や近隣とのトラブルにオーナーが手を焼いて手放すケースや、物件本体に欠陥があるケースです。悪質な場合、これらの理由を隠して売りに出されることもあります。
前オーナーや仲介会社に説明を求め、納得できる理由がない場合には注意した方がよいでしょう。
➃賃貸需要のある物件か
オーナーチェンジ物件は、購入時にすでに入居者がいるため、運営開始後すぐに家賃収入が入ってくることになります。しかし、その入居者がずっと住み続けてくれる保証はありません。空室になった場合でも次の入居者がスムーズに決まるよう、充分な賃貸需要があるエリア・物件であるかどうか、事前にしっかり調査しておきましょう。
賃貸需要を把握するには、近隣の類似する物件の募集状況を確認する、現地の周囲の様子を調査するなどの方法があります。
⑤家賃設定は適正か
現在の家賃設定が相場からかけ離れていないかどうかの調査は、オーナーチェンジ物件への投資において非常に大切なポイントです。
相場よりも大きく家賃が安い場合には、何か理由が隠れている可能性を考えなくてはいけません。よくあるのは、相場の上昇に合わせて家賃を改定していなかったケースです。もしくは何かしらの問題があり、相場の家賃では入居者を確保できず、家賃を下げざるを得なかったケースも考えられます。
家賃が安すぎると、利回りの低下やキャッシュフローの悪化を招き、大きな修繕の必要が生じた場合に資金繰りが厳しくなる可能性があるでしょう。
逆に家賃設定が高すぎる場合、高額な家賃で一時的にサクラを入居させ、利回りの高い物件であると見せかける悪質なケースであることを疑わなければなりません。
悪質なケースでないとしても、相場よりも高い家賃設定では、現入居者の退去後に同家賃で入居者を確保することは難しくなる可能性があります。結果として、入居者確保のために家賃を下げざるを得なくなることが考えられるでしょう。
そうなると当初の収支計画が大幅に狂ってしまい、じゅうぶんな収益を上げられなくなってしまいます。
家賃設定が適正でない場合、今後の経営に支障をきたす可能性があります。購入前に、慎重に調査するようにしましょう。
オーナーチェンジ物件は、すでに入居者が確保されており、運用実績のある物件です。スムーズに賃貸経営を始めることができ、初心者の方でも取り組みやすい手法といえるでしょう。
しかし、物件の状態をくまなく確認できないことや、契約をそのまま引き継がなければならないことなど、オーナーチェンジ物件特有のリスクも生ます。すぐに家賃収入が得られることだけに安心せず、賃借人との契約内容やエリアの賃貸需要などを確認した上で、慎重に投資判断を行いましょう。どんな物件をどのように持つのが良いのかはなかなかご自身だけでは分からない部分もあると思いますので、是非ご気軽にご相談下さい。
ライフコンサルティング事業部 石井直子
神奈川横須賀市出身。
社会人になってからは神奈川県の化粧品工場で品質管理、百貨店の美容部員として勤め、現職で東京へ。
化粧品業界とは別の業界に挑戦したいと思い、兼ねてから興味のあった不動産業界を選び、今の投資用不動産の営業へ転職。
全くノウハウや経験のない状態からのスタートだった為、日々新しい仕事に奮闘しつつも顧客を増やし新しいことへの挑戦をしている。
趣味はカフェ巡りで東京の土地や街並みを勉強中。