始める前につくってみよう!パソコンで簡単シミュレーション

もち方

始める前につくってみよう!パソコンで簡単シミュレーション


マンション投資は他の資産運用に比べて、長期に渡って第三者からの家賃収入を得ることでレバレッジを利かせて安定的な資産形成が行えることが特徴の運用商品です。
一方で長期間運用するため、入居者・天災・価格変動・修繕など先行き不透明な要素も多くついてきます。
なのでマンション投資は、そういった不確定要素をあらかじめご自身で具体的にイメージし、リスクとして許容できるような持ち方をすることが成功の秘訣だとよく言われています。
とはいえ先々長い運用なので、具体的な数字がないとどんなものなのかなかなかイメージしにくいでしょう。
 

 

そこで今回は、だれでも簡単にできるExcelを使ったマンション投資シミュレーションの作り方をご紹介していこうと思います。 

はじめに


用意するもの

・お手元のパソコン(Mac、Windowsどちらも可)
・Excel(全バージョン可)

用意するものはお手元のパソコンとExcelの二点です。
実際ほとんどのパソコンにExcelは標準装備されているので実質パソコン1点のみですね。

スマホやタブレットにもExcelはありますが、今回は表を作成していくので操作性の観点からパソコンによる作業を推奨しています。
それでは作成にうつっていきましょう。

残債シミュレータ


不動産運用は銀行に借り入れを行い、毎月家賃収入が入ってきてローンの支払いで抜けていくといった流れで進んでいきます。
なので運用をシミュレーションするにあたってまずローンの残債シミュレータから作っていきましょう。

なおローンは基本的に最大で35年間、毎月合計420回の返済で行われますが、今回は長期的に分かりやすくシミュレーションするため年度ごとのシミュレータで作成します。

1.準備


今回は試しに30歳の方が
金利(年利)3%35年ローン2500万円
の内容で借り入れを行った場合で作ってみましょう。 

 

まず下図のような表を用意してください。 


F2セル
には借入残債をマイナスの値で打ち込んであります。
B列の年齢は残債を計算するうえでは直接必要ないですが、運用を考える際に分かりやすいので今回は入れてみました。
また金利について、不動産投資に使われる投資用ローンは変動金利になりますが、一旦ここでは35年間金利が変わらないものとします。

2.月返済額


不動産投資の返済は一般的に元利均等返済で行われます。
元利均等返済の月返済額はPMT関数を利用して求めます。
こちら一定利率の支払いが定期的に行われる場合の、ローンの定期支払額を求める関数になります。

・PMT関数 支払額=PMT(利率,期間,現在価値,[将来価値],[支払期日])



これを踏まえてD2セルに =PMT(0.03/12,35*12,25000000) と入力してみましょう。
ここで注意すべきは利率と期間です。今回のローンは毎月返済が行われます。
なので金利(年利)と期間を月単位に置き換える必要があるので利率には年利0.03(3%)を12で割った月利、期間には35年に12をかけた値を入力します。

また[]内の将来価値、支払期日は、今回は省略できる値なので無視して大丈夫です。 

あとはオートフィルで下まで入力してください。 

 
表の末端を見てみると40年後まで返済額が発生していると思うので、35年後以降はこのように0を入力して修正しましょう。
※オートフィルとはセルの右下をダブルクリックすることで表の一番下まで規則正しく自動入力してくれるExcelの便利な機能。今回多く出てくるのでここで慣れておきましょう。 

 

3.累計元金返済額


ローンは借り入れなので、借入額に対して利息が発生します。
つまり毎月の返済には元金と利息が含まれているため、元金部分の残債を求めるためには元金部分の返済額を月返済額とは別で求める必要があります。
 

 

また今回の元利均等返済は返済額が一定な代わりに、毎月の返済ごとに元金と利息の割合が変化するので、年間で返済された元金部分を計算する際は累計の額で求めないといけません。 

ここで出てくるのがCUMPRINC関数です。こちら開始期から終了期までに貸付金に対して支払われる元金の累計を求める関数になります。 

・CUMPRINC関数 
=CUMPRINC(利率,期間,現在価値,開始期,終了期,支払期日) 

ここでは運用年数(年後)までの累計元金返済額を求めていきます。
また利率や期間と同様に開始期と終了期は月単位になるので、開始期は1(カ月)、終了期は1(年後)×12(カ月)になります。
支払期日は月末を示す
0を入力します。 

まず1年後までの累計なのでE2ではなくE3セル 
=CUMPRINC(0.03/12,35*12,25000000,1,A3*12,0)と入力し、オートフィルで拡張してください。


すると末端にエラーが発生していると思うので以下のように
0を入力して修正しましょう。 

4.残債


n年後の残債は、もともとの借入額から③で求めたn年後までの累計元金返済額を引き算することで求めることができます。
F3セルに =F$2-E3 と入力しオートフィルしましょう。すると35年後に見事残債が0になるはずです。

先ほどと同じく末端にエラーが発生していると思うので以下のように
0を入力して修正しましょう。

※ここで出てくるF$2の$マークは絶対参照といわれる機能で、規則性を保ったまま自動入力されるオートフィルにおいて値を固定させる効果があります。
$F2のようにローマ字の前につけると列(横)方向に、F$2のように数字の前につけると行(縦)方向に対して値が固定され、両方つけるとどちらも固定されるといったイメージです。便利なので覚えておきましょう。

 


これで残債シミュレータの完成です。

運用シミュレーション


ここからがシミュレーション本番です。
今回は基本的なトータル損益の求め方を、順を追ってご説明していきます。 

※ここで出てくる想定や数値はあくまで一例であり、実際の取引事例に基づいているものではありません。
ご自身で作成されるときは、自身が想定するリスクや内容、東京カンテイなどの数値に合わせたシミュレーションで応用してみてください

5.売却益

ここでは物件の価格の変動と、変動した場合どれくらいの売却益がとれるのかをシミュレーションします。

まず先ほどの残債シミュレータの横にこのような表を追加してください。


例えば今回築5年、2500万円の物件で運用をスタートさせたとします。
左から築年数、価格変動指数はスタート時を1としたときの価格変動の割合を示します。
ここが今回変動要素になるので、分かりやすく今回色付けしてあります。

続いて変動後の物件価格、売却益といった形です。 

 

まずは関数を打ち込んでいきましょう。

・物件価格 

このとき物件価格=スタート時の価格×価格変動指数なので
I3セルに =I$2*H3 と入力しオートフィルしましょう。 

 

・売却益 
不動産を途中で売却した場合、残っているローンの残債を一括で繰り上げ返済し、その残りが売却益になります。
よって売却益=物件価格-残債となるので
J2セルに =I2-ABS(F2) と入力しオートフィルしましょう。
※ABS()は絶対値をとる関数になります。 


ここまで出来たらいよいよ価格変動指数です。ここには任意の値を入れてください。

例えば今回仮に、築10年ごとに価格が10%下落したと想定すると、変動指数は築5年~9年が1、築10年~19年が0.9、築20年~29年が0.8…といった具合です。
この場合シミュレーションはこのようになります。

他にも東京カンテイが出している実際の築年数ごとの取引事例や坪単価を基にシミュレーションしてみるといいでしょう。 

6.家賃収入


続いてマンション投資の核となる家賃収入を求めていきます。以下のように表を追加してください。
今回は少し細かく空室と賃料の下落を加味したシミュレーションの作り方をご説明させていただきます。


例えばスタート時の家賃収入が月75000円だったとします。
これを基に家賃変動指数、空室といった変動要素を加味して累計の家賃収入を求めていくイメージです。 

 

まずは関数を打ち込んでいきましょう。 

 

・月家賃収入
このとき月家賃収入=スタート時の家賃収入×家賃変動指数なので
K3セルに =K$2*L3 と入力しオートフィルしましょう。 


・累計家賃収入
 
累計の家賃収入は前年度までの累計家賃収入+今年度の家賃収入で求めることができます。
ここで年間の家賃収入は空室を加味すると 年間家賃収入=月家賃収入×(12-空室) で表すことができます。

よって、N3セルには =N2+K2*(12-M2) を入力してオートフィルしましょう。 

ここまで出来たらあとは変動指数です。
例えば今回5年ごとに1カ月の空室が発生し、そのたびに家賃が1%ずつ下がったとするとこのようになります。 


7.トータル損益


続いて最終目的であるトータル損益を求めていきます。
マンション投資において収入は大きく分けて家賃収入売却益。支出は大きく返済管理費といった要素で構成されます。 それを踏まえて次のように表を追加してください。

 

 

・累計支出額 
今回マンションの維持管理費が一律毎月5000円で積み立てられており、初期費用が50万円かかったとします。
そうすると支出は 支出額=返済額+管理費等なのでP3セルには =P2+ABS(D2)*12+O2*12 と入力しオートフィルしましょう。 

・トータル損益
以上その他収支までの項目を踏まえるとトータル損益は次のようになります。
トータル損益=累計家賃収入+売却益-累計支出 

よってQ3セルに =N3+J3-P3 と入力し、オートフィルするとシミュレーションの完成です!!

シミュレーションの全体図はこのような感じです。

 

まとめ


いかがだったでしょうか?
今回順を追って詳しくシミュレーションの作り方を説明したので長くなってしまったのですが、実際に本文に出てくる通りに表を作っていただき、コマンドをコピペしていただくと10分程度で簡単にシミュレーションを作っていただけると思います。
また今回ご説明したシミュレーションはあくまで簡易的なものです。不動産投資にはまだまだ他にも収支にかかわる要素がたくさんあります。例えば収入でいえば節税や礼金収入、支出でいえば金利の上昇やエアコンの取り換え費用など。 

不動産投資は一見変動要素が多くややこしそうに見えがちですが、実際整理してシミュレーションしてしまえば仕組み自体は簡単です。
入居者や価格下落、修繕などの不確定なリスクもあらかじめ想定しておくと安心でしょう。
 

弊社では豊富な知識をもったコンサルタントが多数在籍しております。
不動産投資のリスクや流れ、シミュレーションなどのご質問なども受け付けておりますので是非お気軽にご相談ください。
 

ライフコンサルティング事業部
篠倉共晶


Tomoaki Sasakura ラクサスマネジメント株式会社/ライフコンサルティング事業部。
兵庫県加古川市出身。学生時代は中高大と部活動で野球に打ち込み、大学ではライブハウスでのバンド活動も並行して行う。
大学卒業を機に上京を決意し、社会人として周りよりも早く成長したいという思いでラクサスマネジメント株式会社に新卒入社。
実力主義の環境でトライアンドエラーを繰り返しつつ、未経験での営業活動に日々奮闘している。
趣味はギターを弾くことと銭湯に行ってサウナに入ること。

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