不動産を購入する際、金融機関からの融資審査が通ればそのまま売買契約をするものだと思われがちですが、その前に必ず行わなければならない事があります。それは重要事項説明(重説)です。
物件販売者(売主)は、物件購入予定者(買主)に対して、購入物件に関する「重要事項説明書」に基づく説明をしなければいけません。これは宅地建物取引業法第35条で決められています。説明ができるのは、宅地建物取引士の資格保有者のみです。
重要事項説明書とは購入物件に関わる事を記載した書類のことで、内容は大きく二つに分けられます。
1.対象物件に直接関係する事項
2.取引条件に関する事項
1には登記簿の記録、都市計画法や建築基準法等の法令、インフラに関する整備状況などが、
2には代金の授受方法・契約解除、瑕疵担保責任等について記載されています。
登記記録では、名義人と売主の氏名が同じ内容であるかを確認しましょう。名義人と売主名が異なる場合、相続登記が未了か、所有権移転登記が未了であることが考えられるので注意が必要です。
本登記をするのに必要な要件が完備されていない「仮登記」や、売主が購入不動産を買戻せる「買戻し特約登記」、購入物件が差押えられている「処分の制限の登記」の記載がある場合、危険な取引となる可能性が高いので注意が必要でしょう。
売主に残債があれば銀行による「抵当権」が記載されており、所有権を売主から買主に移転させるためには、借入金の完済により抵当権を抹消する必要があります。
延べ床面積が建ぺい率、容積率の範囲内になっているか確認しましょう。建ぺい率などが超過している場合は建築基準法違反となり、融資は受けられなくなります。
築年数が古い物件では、当時は適法だったけれど、法改正により違法建築状態になっている現況不適格といわれる物件もあります。建替え時には適法の延べ床面積で建築をする必要があり、建替えに制限がでるかもしれません。
他にも、購入物件が現行の法令に適合していない場合または法令に違反して建築されている場合には、備考欄にその旨が記載されますが、金融機関による融資審査に影響を及ぼすことがあるので注意しましょう。
ここでは、「契約違反による解除」と「融資利用の特約による解除」について確認しておきましょう。
契約違反による解除とは、期日を過ぎても買主が代金を支払わない場合、引渡日を過ぎても売主が物件を引き渡さない場合、また売主又は買主が売買契約に基づき義務を履行しない場合に、相手方は催告のうえ売買契約を解除することができ、違約金を請求できるというものです。
融資利用の特約による解除とは、不動産融資を借りられなくなった時に、手付金の放棄や違約金の請求が生じる事無く解除することができるというもの。これらは、重要事項説明書に記載されていないと適用されないので注意が必要です。
ここでは、購入物件に及ぼす影響事項が有るか否かを確認しておきましょう。
例えば、周辺環境に悪臭・騒音・振動を発生させる施設の有無、近隣の予定建築物の有無などです。「特約条項」、「承諾事項」、「告知事項」などと称してここに記載されている場合があります。
説明書には、不動産関係の専門用語や法律用語が記載されており、一度で理解するのは難しい事からある程度理解する時間も必要です。
説明を受けたからといって、必ず売買契約を締結する必要はありません。内容に納得できなければ購入を見送る最後のチャンスにもなります。納得して最終判断ができるように重要事項の説明は売買契約日よりも早めにしておいた方がいいでしょう。
不動産投資を始める際、必ず行う物件の重要事項説明について解説してきました。物件を購入する際は要点を意識した上で進めていきましょう。
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ラクサスマネジメント株式会社
ライフコンサルティング事業部
染谷 雄太
私は不動産投資に関して、悩みや不安を抱えた方々のご相談を受けるコンサルティング業務を行っています。
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