不動産を複数件持つ理由-リスクヘッジ編-

減価償却

不動産を複数件持つ理由-リスクヘッジ編-



よく不動産投資において“売却など出口の選択肢を増やす”といった戦略を取るために複数件の不動産を所有する方が多くみられます。
不動産オーナーさんが物件を複数もつ理由は、そのようなメリットだけではありません。
実は、物件を複数所有することでリスクヘッジにもなるのです。

そこで今回は不動産を既に持っていらっしゃる方がリスクヘッジとして、
のちに不動産を買増す際に取られる戦略についてみていきましょう。

不動産を持ち続けるリスク



今回はリスクヘッジについての話になるので、はじめに不動産投資におけるリスクについておさらいしていきましょう。
不動産を持ち続ける際のリスクには以下のようなものが考えられます。

・入居者リスク
入居者からの家賃収入を活用する不動産投資において、いかに入居者がつき続けるかは一番大事な要素といっても過言ではないでしょう。
大前提として、一般的に投資用物件は銀行の厳しい審査を通過しているので、
そもそも運用に影響を及ぼすまで入居者が付かないことはあまり考えられません。

しかしそのような物件でも、どうしても途中で入居者の入れ替わりが発生してしまいます。それが今回の言うところの入居者リスクになります。

・天災リスク
不動産は常に自然にさらされているので、天災に巻き込まれるリスクを抱えています。
“火災・地震・洪水・強風“など考えられる災害はたくさんありますが、
そもそも投資用物件は銀行の審査にかけられているので、
物件が燃えやすかったり地震ですぐ倒壊してしまったり、浸水しやすい地域にあることは考えられません。
さらに火災保険や地震保険に加入することで、万が一の際でもある程度のリスクヘッジは取れるでしょう。
しかし残念なことに自然災害に絶対はないので、100%リスクをぬぐい切れないのが天災リスクです。

・維持費の上昇リスク
不動産投資は実物を中長期的に所有する運用なので、どうしても途中で修繕を行いながらクオリティーを保っていく必要があります。
具体的には10年、20年ごとに外壁補修・屋上防水・配管補修工事を行う大規模修繕や、
マンションの資産価値を高めるため、新しい設備を取り入れるのに必要な資金を毎月積み立てる修繕積立金、
専有部分のエアコンやトイレなどの設備交換費用などがあります。

これらは当然築年数が経てばたつほど多くかかってくるということに注意しなければなりません。
修繕を行って物件のクオリティーを担保しながら入居者をつけることはとても大事なことなので、
その注意点をあらかじめ把握することが大事になってきます。

・納税リスク
不動産投資のメリットの一つに節税効果があります。
しかし実は、節税効果を永久に受け続けることは残念ながらできません。

不動産投資での節税効果は、確定申告をすることで金利や減価償却費、
租税などの経費を計上して損益通算を行い、帳簿上での年収を下げることで得られます。
ですが、その効果を左右する減価償却、特に設備の償却期間は有限なのです。

一般的にRC造のマンションの設備の償却期間は15年なので、
築15年以下の物件については築年数が15年たつまでの期間、築15年以上の物件については3年で償却を行えます。

その結果、物件にもよりますが、設備の償却期間が過ぎたあとに確定申告で計上できる経費の額が下がってしまい、
最悪納税しないといけなくなるケースもあるので注意が必要です。

・管理会社の倒産リスク
不動産投資は手間なく運用ができることが特徴です。
入居者の募集や立ち合いなど、どうしても発生する賃貸管理業務を管理会社に委託するため、
自身の時間や労力を使うことがありません。

一方でその管理会社が万が一、問題を起こしてしまったり倒産してしまったりしたらどうでしょうか。
それまで委託していた賃貸業務を自分で引き受けるのか、それとも自分で一から管理会社を探すのか。
そうなってしまっては元も子もありませんよね。
もちろん会社側も問題なく存続することが義務ではありますが、これも100%ないとは言い切れないリスクなのです。

複数件持つことでとれるリスクヘッジ


それでは先ほど挙げたリスクを基に、物件を複数持つことで得られるリスクヘッジ戦略を解説していきましょう。

・入居者リスク
複数件持つことで回避できる入居者リスクの戦略は大きく分けて3つあります。

・完済後の入居者リスクの分散
物件を複数件所有することで、ローン完済後に家賃収入が全く入ってこないリスクを下げることができます。
不動産投資を始める多くの方は、老後不足するといわれている年金の対策として、ローン完済後の家賃収入を活用することでしょう。
物件を複数持ち1/1、1/2、1/3、1/4…と分母を増やすことで全く家賃が入ってこない確率を下げることができます。

・物件をわけることでの入居者リスクの分散
違う物件を複数件持つことで入居者動向が変わり、入居者付けの際に有利にはたらくことがあります。
例えば同じエリアで同じ間取りの物件だったとしても、物件は内装や設備がそれぞれ違うのでターゲットは当然変わってきます。
さらに最寄り駅が変わると、そもそものターゲットの属性が変わってきます。
このように複数件違う物件を持ち入居者のターゲットを変えることで入居者の動向も変えることができ、
入居者リスクの分散になります。

・物件の特性を分けることでの入居者リスクの分散
築年数やエリアなど違う特性の物件を複数件所有することで、入居者リスクの分散になります。
例えばあなたがすでに地方で築古物件を持っていたとしましょう。
このような物件は一般的に利回りが高く安く手に入りやすいのですが、
需要等の兼ね合いでゆくゆくの入居者リスクは高くなりやすいです。
そこで新たに入居がつきやすい都心部の新築物件を持つことで、既存物件の入居者リスクを補うことができます。

・天災リスク
エリアを分けて物件を複数件所有することで天災リスクの分散になります。
例えば大阪と東京で物件を所有していて、東京で地震が起こり所有物件の修繕が必要になった場合、
大阪の物件の家賃収入を活用して、売却益を修繕に充てることができるので天災リスクの分散になります。

・維持費の上昇リスク
築年数が違う物件を複数件所有することで維持費上昇リスクの分散になります。
例えばあなたが築古物件を持ったとしましょう。
このような物件は一般的に利回りが高く毎月のキャッシュフローも良くなりやすいのですが、
ゆくゆくの維持費上昇によるキャッシュフロー悪化のリスクは高くなります。
そこで償却期間が長い新築物件をもつことで、その物件の家賃収入や売却益で維持費を補うことができるので維持費上昇リスクの分散になります。

・納税リスク
築年数が違う物件を複数件所有することは維持費上昇リスクの分散にも繋がります。

例えばあなたが築古物件を持ったとしましょう。
このような物件は一般的に償却期間が短いので目先の節税効果が高いのですが、
ゆくゆくの納税リスクは高くなりやすいです。
そこで償却期間が長い新築物件をもつことでその物件の節税効果を含めた収支改善を補うことができるので維持費上昇リスクの分散になります。

・管理会社の倒産リスク

物件の委託先管理会社を分けることで管理会社の倒産リスクを分散することができます。

例えば、
① A物件・B物件をX社に委託している場合
X社が倒産や問題を起こし業務停止になってしまったらそこから新たに管理会社を探さないといけません。

②A物件をX社、B物件をY社に管理を委託している場合
X社が倒産や問題を起こし業務停止になってしまっても、すでに付き合いのあるY社の担当にA物件を引き継ぐことができます。

まとめ

今回は複数件不動産を持つことでできるリスクヘッジの戦略について紹介してきました。
不動産投資は一般的にリスクへの対策が取りやすい仕組みなので、ローリスクミドルリターンといわれております。
しかし、長期間の運用になる上、100%完全にリスクを排除することはできません。

そこで今回ご紹介したように複数件持つことでのリスク分散を活用して、
そのリスクを少しでも小さくしてみるのはいかがでしょうか?

弊社では不動産投資の基礎知識から応用まで幅広い世代の方にご案内しております。

実際個別に合わせた不動産投資のプランやシミュレーションの作成も行っておりますのでまずはお気軽にご相談ください。



ライフコンサルティング事業部
篠倉共晶

Tomoaki Sasakura ラクサスマネジメント株式会社/ライフコンサルティング事業部。
兵庫県加古川市出身。学生時代は中高大と部活動で野球に打ち込み、大学ではライブハウスでのバンド活動も並行して行う。
大学卒業を機に上京を決意し、社会人として周りよりも早く成長したいという思いでラクサスマネジメント株式会社に新卒入社。
実力主義の環境でトライアンドエラーを繰り返しつつ、未経験での営業活動に日々奮闘している。
趣味はギターを弾くことと銭湯に行ってサウナに入ること。
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